建築士会主催の景観セミナ―に参加……「名都」とは
私は、都市計画審議会の委員をさせていただいている。9/15に景観セミナ―に参加した。
内容は東名高速道路にかかわられたその道の権威 中村良夫氏(東京工業大名誉教授)の講演と後楽園周辺の景観を世界遺産にしようというテ―マのシンポジウムだった。
中村教授の講演は実に興味深かった。中でも、「名都をつくろう」の中で、名都の要件に触れた部分だ。石川氏の言葉を引用する形で、?山水が美しいこと?都心部に文化施設が集積していること?住んでいる人の生命力(賑わい)や暖かさを感じることをあげられた。景観とは「都市の魂」であり、文化のカだとの訴えは、私の心に響いた。
シンポジウムに移り、津田永忠顕彰会会長の小嶋氏(両備グル―プのトップ)と農業土木が専問の馬?岡大教授がそれぞれ意見を述べられた。
岡山には先人が血のにじむ努力をして作ってきた「生命をはぐくむ」干拓農地沖新田がある。百聞川、倉安川、そして、網の目の水路、桶門などはどれもがつながりあって機能してきた。しかし、今は、政府の農業破壊政策のもとで、農地が急速に市街化している。
岡山市は景観計画を作っている。この計画が岡山の原風景を守る防波堤になってほしい。岡山市は、一方では農地の宅地化を促進する開発条例をつくっている。私には矛盾に見えるのだ。
中村氏は、壊す文化の見なおしを訴えた。同感である。
30年ぶりに沖新田、沖田神社、百聞川、倉安川、曹源寺、後楽園などを巡られたそうだ。曹源寺は変わらない風景だったが、沖新田は市街化が進んでがっかりした!と率直な感想を述べてまとめをされた。
スライドで延養亭の上に二ョッキリとグレ―スタワ―だけが映し出された。小嶋氏は「景観原理主義ではいけない。経済活動や生活との共存を。」と発言。どの程度までの妥協を自分の中で許して、世界遺産へのアピ―ルを考えておられるのか…。ききたかったがきかなかった。
損得でなく「文化のカ」「都市の魂」へのこだわりをもちつづけることの大切さをあらためて考えた。ユネスコは無形遺産にも注目しているか…。干拓農地を守り、生かす農業政策こそ岡山市の継承すべきことではないか。そして、後楽園の周辺景観にもこだわってみたいと思う。